コロナワクチン、貧困国に希望の光

富裕国が30億回分以上の新型コロナウイルスワクチンを予約しているため、貧困国が国民の大半に接種できず、向こう数年はコロナ感染のまん延が継続しかねない可能性が出ている。
 現在、欧米製の3種類のワクチンが有望な有効性を示し、国際的な保健機関の連携も勢いづいていることから、ワクチンの一部確保を急ぐ世界の最貧困国の間には慎重ながらも楽観的ムードが漂っている。
 欧米は全国民に接種できるだけのワクチンを予約し、まだ製造もされていないうちからその権利を主張して他国への供給をひっ迫させている。一方、中国はアラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンの国民数千人分を除き、国産ワクチンを主に14億人の自国民に割り当てている。
 こうした現状を受け、アフリカや中南米、南アジアの多くの政府が、スイスに拠点を置く少数の国際的または非営利の保健機関に依存せざるを得なくなっている。中でも頼りにされているのが、世界保健機関(WHO)と発展途上国へのワクチン普及を推進する国際組織「Gaviワクチンアライアンス」(本部ジュネーブ)だ。それらの機関は全体として、医療従事者や高齢者、基礎疾患を持つ人たちを中心に、世界の92の貧困国で来年末までに人口の最大20%にワクチンを接種できることを期待している。
 そうした取り組みが最近、加速している。
 英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学は23日、共同開発しているワクチンが最大90%の有効性を示したと発表した。発展途上国はこのワクチンに期待をかけている。1回分の価格がわずか数ドルの上、通常の冷蔵庫で輸送と6カ月の保管が可能なため、高度な超低温冷蔵庫網を持たない国にはうってつけだ。Gaviはこのワクチンを3億回分購入した。これは、冷蔵などの問題で一部が無駄になることを想定すると、約1億人に接種できる量だ。
 他のワクチンも発展途上国で弾みがついている。Gaviによると、米製薬大手ファイザーともワクチン購入について協議している。ファイザーのワクチンは超低温で製造されているが、同社によると通常の冷蔵庫で最大5日間保管できる。Gaviは米バイオ医薬品会社 モデルナ とも協議中だ。モデルナによると、同社のワクチンは冷蔵庫で最大1カ月保管が可能。
 Gaviは、今年ワクチン購入に必要な資金20億ドル(約2086億円)を調達したが、来年さらに50億ドル確保する必要があると関係者は話す。米国に世界的なワクチン推進への支援を強化してもらえるよう、近くジョー・バイデン米次期大統領のチームと協議する見通しだ。
 だが依然、確保には苦戦している。発展途上国が十分なワクチンを入手できなければ、コロナの温床となり、国際的な貿易や移動を通じて今後もウイルスが拡散され、生命が奪われかねない。多くの低所得国では、ロックダウン(都市封鎖)などの社会・経済活動を制限する措置によって、医療や学校教育、貧困削減に関する数十年にわたる進展が既に巻き戻されている。ワクチンの入手が遅れれば、一段と後れを取ることになる。
 ワクチンの有望性が高まる中、世界の公衆衛生専門家が懸念するのは、コロナの重荷が一段と貧しい国にのしかかり、そこでウイルスが何年も生存し続ける可能性だ。
 WHO当局者は、世界の全人口へのワクチン接種の難しさを踏まえ、新型コロナウイルスが撲滅されない可能性を指摘している。
 人命への影響は甚大なものになりかねない。世界の富裕国50カ国がワクチンの最初の20億回分を確保した場合、コロナによる最終的な死者数は、ワクチンが均等に供給された場合と比較して2倍になる見通しだ。この予想は、米慈善団体ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の資金提供で米ノースウエスタン大学が実施し、9月に発表された調査で示された。


Posted by yoxier. at 2020年12月21日16:55

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